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停電時における在宅人工呼吸器使用時の外部電源の確保について

I 基礎知識篇 はじめに・・・ 多くの医療機器を使用するためには「電気」が必要になります。生命維持装置である人工呼吸器も例外ではなく、駆動するために電気が必要です。機械を動かす ための電気は外部電源と内部電源に分けて考えることができます。コンセントから供給される電気は外部電源となり、機械の内部におさまっているバッテリーは 内部電源となります。以下、内部電源を内部バッテリーと記載します。 停電した直後に活躍するのは内部バッテリーです。しかし、機械の内部におさまっている大きさから想像できるように、内部バッテリーだけでは長時間駆動できません。 今回東京電力圏内で行われていた1回あたり3時間程度の計画停電でさえも、内部バッテリーへの再充電時間を考慮すると、必ずしも「安全」とは言えない状態 です。さらに、非侵襲的換気療法(NPPV)を行う人工呼吸器では内部バッテリーを持っていない機種があります。 電気が必要なのは、人工呼吸器だけではありません。常に気管内吸引が必要な患者さん、夜間停電時の「灯り」の確保等を考えると、外部電源の確保は必須の課題といえます。   【1.人工呼吸器の内部バッテリーについて 】 種類 内部バッテリーには従来、鉛バッテリーが多く使用されてきました。鉛バッテリーの特性のひとつに「充放電を繰り返すうちに最大容量が徐々に減少する」するという”メモリー効果”があります。 新品時には12時間の充電で人工呼吸器を5時間駆動できるバッテリーも、5年間使用後には同じ充電時間で2~3時間しか駆動出来なくなってしまうことがあ ります。たとえ、充電時間を12時間以上に延長しても、充電できる最大容量が減少しているため、駆動時間は延びません。 最近の新しい医療機器にはリチウムイオンバッテリーが搭載されるようになってきました。鉛バッテリーと比較して、高価ですが、軽量コンパクトで充電時間が短く、メモリー効果が起きにくいためです。 充電 内部バッテリーの充電は2つの充電方式が考えられます。 ①機械を使用しない状態での充電 ②機械を使用しながらの充電 ①では充電と同時に放電も行っているので、②に比べ充電に長時間かかります。すなわち、人工呼吸器を使用しながらの充電は予想外に長時間かかることがあり、停電が数時間のうちに反復する場合は特に注意が必要です。 【2.人工呼吸器の外部電源について 】 病院では自家発電機を設置していることから、ここでは在宅人工呼吸器に限定して考えていきます。 種類 ①自宅のコンセント (交流100V) ②メーカ純正品の外部バッテリー ③メーカ推奨の外部バッテリー ④医療用バッテリー ⑤車のシガーソケットからの電源確保(インバーターの利用) ⑥発電機 ⑦車載バッテリー等を利用した充電システム(自作) ⑧パソコン用UPSの代用 停電時は①は当然使用出来ません。 ②~④の方法は医療機器を安全に使用できることが事前に確認されています。 一方、⑤~⑧では医療機器の動作は保障されず、自己責任での使用となります。しかし、停電で人工呼吸器が止まる事態は絶対に避けなければなりませんので、 ⑤~⑧も含めて複数の電源バックアップ手段を用意することが危機管理上求められます。 実際は、患者個々の療養生活や、使用中の資材、マンパワーを考慮した上で、人工呼吸器の非常用外部電源を準備することになります。即座に利用可能だが長時 間動作の苦手な”バッテリー類”(①~④、⑦⑧)と、電力供給立ち上げに時間はかかるが長時間継続可能な”発電機類”(⑤⑥)を組み合わせて非常用電源を … Continue reading

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